社長のブログ

自分で行なう引越体験(福井~日野~新座)

いよいよ東京に向け出発だ。
「レンタルのツダ」と横書きされた黄色の2tトラックの座席に太っちょ3人が横並びに乗っている姿は、正面から見ると如何にも「引越代を節約したケチ親子の引越」か「ドサ回りの売れない親子劇団」といった風情にしか見られないだろう。
先月から3度目の車での上京で、福井から車で日野に向かうには色々試行錯誤した結果、福井を夕方から8時ごろまでに出て中央道を走り、午前1時か2時ごろに山梨の甲府にまで行って、そこで石和温泉のサウナに入って仮眠し翌朝都内に向け出発するのが、できるだけ体に負担にならないで時間とお金を有効に使うための移動手段という結論が出ている。これだと自然に眠くなったときに寝ることができて、宿泊代も仮眠室ならサウナの入浴料だけ、そして翌朝朝風呂を浴びても1時間も走れば八王子に到着でき、丸1日が有効に使えるし、更に(今回はトラックにETCが付いていなくて残念でしたが)福井甲府間のETCの深夜割引も使え、朝の通勤割引も使えて我ながら非常に気に入っているプランなのです。
スピードが100kmしか出ない慣れないトラックだが、前には走っているのでとりあえず時間が過ぎれば距離は稼げる。小牧JCTを中央道に入りアップダウンが激しくなるが順調に岡谷JCTを通過、左に諏訪湖を望みながら走らせているといつの間にか制限速度が50kmと点灯している、そのうち後ろからパトカーが走り去り何か嫌な予感と思いきや、諏訪ICで「事故通行止全車降りろ」の表示、中央道を降りて下道である国道20号線を東に走る。時間は10時過ぎ、20号線ならもっと広い道だと思っていたが、ここまでくると1車線の曲がりくねった道、不安な時間を過ごしたが次の諏訪南ICで無事に中央道に復帰、かなり遅れたが1時過ぎにようやく甲府昭和ICでおりる。
ここからは今日の宿泊地である石和温泉健康ランドに向かうが、いつもならナビに頼ってスイスイ行くのだが今日はナビなしのトラック、その上道路地図を引越の荷物に積んでしまって頼るのは、インターネットで印刷した地図だけ、案の定道に迷い右往左往、結局30分うろうろしてようやく到着。
石和温泉健康ランドは宿泊(ホテル)施設も付いたサウナ、食事もマッサージも遅くまで営業している。深夜2時でもチェックインできるのも助かる。今日はたっぷり寝て明日の荷物搬入に備えるために、オヤジはシングル、息子たちにはツインの部屋も予約しておいた。サウナに入っても12時以降は深夜料金が加算され1人2600円ほどになるが、その分の料金込みでホテルのシングルが約5000円、ツインだと一人4600円ほど、こんな時間にやってきて、温泉に入ってビールを喰らって一応一人部屋のベッドで寝れるのだから5000円奮発しても値打ちがある。メインのレストランはナント午前3時ラストオーダー、4時閉店、朝は7時開店という商売根性が座っているし、お風呂も4時から5時が入れないが23時間何時でも入浴可能で、この日もゆっくり足の伸ばして色々な温泉に入り、そのあとレストランでビールを飲んでそのまま部屋でバタンキューで就寝。
疲れていても風呂・ビール・爆睡4時間あれば元気回復、朝7時に起床、天候は快晴、また朝風呂に入り髭をそって頭もセットして爽快に健康センターを8時に出発、右手には富士の高嶺が見える。
しかし甲府一宮ICから乗る予定がまた道に迷い結局勝沼ICから中央道に、それでも9時には八王子を抜け、兄息子が2年間住んでいた日野の平山に到着、ここで兄の荷物を積み込むとすぐに新座に向け出発。いつもは小金井街道経由だが混雑がひどいのでこの日は府中街道を北上することとする。
東京の新宿から立川くらいまでの西側は都内と結ぶ東西の道路は幹線が多く比較的流れているが、それを南北に移動しようとすると大きな道も少なくいつも慢性的に渋滞している。でもこの日の府中街道は五日市までは何とかスムーズに動いたがヤッパリ渋滞、それでも初めての道を探して何とか午前中に新座市に着いた。腹が減ったのでまずは腹ごしらえ、しかしあまり食べ過ぎては荷物降ろしで動けなくなるので軽い食事にするため廻る寿司屋に入ったが、軽くと言ったのに1万円札を出しておつりは3千円、これから二人でどういう食事をするのかが心配だ。
食事を済ませ管理する不動産会社に鍵を取りに行く。地元の西洋菓子倶楽部のお菓子を持参し、これから何卒よろしくと伝える。いつもは受ける立場なので、このシーズンはうちの会社にもこのような菓子箱がかなり沢山集まり、小腹が空くとすぐにそこに手が行ってしまい、またまた肥満になるパターンだが、今回は贈る立場なので何か神妙な面持ちだった。これから受け取るときもこの時の親の気持ちも思い出してできるだけのサポートはしてあげようと思った。持ってこない人でも同じ対応なのだが、やはり最初の印象が違うと少しは対応も変わるのは仕方ないのかも
次に途中でそのマンションを案内してもらった仲介の不動産会社にも同じお菓子を持っていくと、そこは女性スタッフが多くて少し目の色が変わった?のが分かった。こういう時西洋菓子のお菓子ならまた一段と対応が良くなるかなと自信を持って渡せるのが心強い。その効果は後ほど…
ようやく鍵も手にしてマンションに車を横付け、荷物の搬入が始まった。道路からの距離はほとんどないが、部屋は3階だ。張り切りすぎては帰りが大変だと思い、親父はトラックの荷台から運び出すものをデッキに出す役につくこととする。大変なのは息子二人だがさすがに自分のための引越ということを自覚してか文句一つ言わずに3階との往復を何度も続けた。この時の引越のコツだが、一度にできるだけ効率よく荷物を持って3階に上がるかを考えて、一度に運ぶ荷物をまとめてできに置くようにした。たとえば椅子を一つだけ出しておくと椅子一つしか運ばないが、椅子の座るところに他の荷物を乗せて運べば一回で2つの荷物が運べる。当たり前のようなことだが、これで数往復は助かるのではないかと思う。
さわやかな風が吹く天気にも恵まれたが、2tトラックほぼ一杯の荷物を3階に運ぶのは並大抵のことではなかった。最初は順調だったが、シャツは汗まみれ、額からはポタポタ大粒の汗がしたり落ちる。途中で休憩も入れてようやく3分の2くらいが終わったところで弟が膝が痛くて階段を上がれなくなった。大学合格後何も運動しないで寝そべってばかりいたツケがこんなところで出てきた。仕方ないので兄と一緒に最後の大きな荷物をそれこそ最後に力を振り絞って3階の部屋に担ぎいれた。
すべての荷物が部屋に入ったが、ここで何とか泊まれるのか調べてみると、照明器具が付いていないことに気がついた。東京周辺では照明もエアコンも付いてないこともよくあることらしいが、このまま日が暮れると真っ暗のなかで一晩寝なければならないので、疲れた体に鞭打って照明器具を買いに近くのDIYショップに向かう。移動手段はトラックしかないので、少しの買物も2tトラックだ。和室と洋間2つの照明器具を買い、店長らしい人に沢山買ったことを見せ付けながら、今晩、駐車場に車を置かせて欲しいことをお願いすると気持ちよく承諾してくれた。引越業者だと荷物を運んだらすぐに帰ってしまうが、自分での引越では引越後のトラックの駐車場も手配しなければならない。100円駐車場は沢山あるが、高さも幅も長さも規定を超えており、どこに止めるかは出発したときからの懸案だったが、これで解決した。でっかい荷台に照明器具を載せて、コンビニに立ち寄って飲み物を買って一旦部屋に戻り照明を取り付けるとこれで今夜は何とか寝れると一安心した。時間は7時を過ぎ、腹が減ってきた。引越のときくらいは簡単な天屋物と相場は決まっているが、息子たちとの夜の食事は今夜が最後、ヤッパリ焼肉かなと言うと満面でOKが出た。3人で焼肉屋を探しに駅前に歩くと、お昼に立ち寄った仲介の不動産会社がまだ仕事をしていた。近くのうまい焼肉屋を聞こうと中に入ると、いきなりさっきはご馳走様でしたと笑顔で応対してくれた。さすが女性には西洋菓子だと自信が確信に変わった瞬間だった。
焼肉で腹ごしらえして真露(韓国料理にはこれに決めている)のミニボトルを一人で空けて部屋に戻るともう風呂に入る元気もない。息子たちにこれからの生活に対する注意も言い聞かせることもなく、横になったら5分もしない間に寝てしまった。こんなオヤジを姿を見れば息子たちに対する愛情は百回言い聞かせるよりも判ってくれると思っているのは親父だけかもしれない。