不動産に関するQ&A

住所の「字」「大字」は省略できる?

質問
住所の 字 大字について教えて下さい。
ある企業に勤めることになり、お客様の個人情報を扱うようになりましたが、
そこで、住所に 字 大字 等か付く場合、その文字は入力しなくてよいとの指導がありましたが、
この住所につく 字 大字とはどういった意味があり、なぜ付いている住所と付いていない住所が
あるのでしょうか??教えてくださいませ。

答え
太閤検地以前は人の住んでいた所を特定するために○○の国△△郡(こおり・他に郷、庄)××村のジロベェとかタロベェとか呼んでいて、ジロベェなりタロベェの田んぼということで特に、今で言う土地に地番は必要なかったのですが、検地により農地を測量しその農地を特定するために××村の下に大字□□さらに字(小字)○○そして数字が付けられました。そもそも検地は年貢を徴収するために行なわれたわけですが、地図を描いて個々の田んぼの面積を測り、その田んぼを特定するために大字や小字の地域名をつけ番号を付ける必要があったものと思われます。
一方、お城や神社仏閣を中心に人が集中して住み始めると、××村の○○のジロベェでは場所の特定が難しくなり、住んでいる場所にも小字名が付き、そのまま住所として使われるようになったと考えられます。
こうして住所も農地にも○○の国△△郡(こおり・他に郷、庄)××村の下に小字名、そして番号(番地)が付いたわけですが、一つの村にも小字名が多く順番に整理する必要から小字名の前に数字で番号が付され、例えば××村12字○○(小字名)34番となり、××部分が大字と呼ばれるようになったと思われます。ところが12字には○○(小字名)しか存在しないため小字名は特に表記しなくても、12字と書くだけで場所が特定できたことから、特に住所を書く場合には○○(小字名)が徐々に省略されたと推測されます。
その後市町村の合併、戦後の区画整理などを経てこれまでの大字名が整備され○○町とか○○×丁目となってしまった所が多いのですが、これは大字名がなくなったのではなく大字名だけを表記し頭に大字という文字を書き加えたか加えなかったかの違いだけなのです。
例えば「 」内に大字名、「  」に小字名を書きなさいと指示したときに、そこに「大字○○」とか「小字××」と書き、そのまま表記されてしまったのではないかとも推測されます。実際に長野市のように市内中心部でも大字表記が残っていたり(長野市役所=長野市大字鶴賀緑町1613番地)、○○町××小字○○の小字表記が残っている地域も多く見られます。また、不動産登記で必要となる地番には区画整理などがされていない土地や農地を埋め立てた宅地では今でもほとんど小字名が表記されておりそれが正式住所としている場所も存在しています。
このような歴史から検証すると、「○○市△△町一丁目2番3号」の住所表示には「△△町一丁目」という大字名、「2番」という数字の後に小字名が隠れてる(省略された)と考えたほうが判りやすいと思います。
「大字○○」や「字○○」の大字や字の表記を入力しなくても良い(省略しても良い?)との指導を受けられたとのことですが、長野市役所のように正式な住居表示でも大字名が含めれているところもかなりのあり、地元の人に聞かない限りそれが省略できるかどうかを見分ける方法はありません。
もう一つ、ついでに住所表示や地番の表示で、○○一丁目とか二丁目という○丁目表示ですが、これはすべて大字名なので算数字ではなく、正式には漢数字を使って一,二,三,四丁目と書くのが正式な表記となります。
また、これとは別に京都のように通り名を住所としている所や札幌のような街区表示もあり、全国一律表示ではないのが現状です。(他にも○○市×丁目とか網走刑務所=網走市字三眺官有無番地(正式住居表示)のような表記もありますから、調べてみると奥深くて面白いですよ。)
結論として、データが地番から独自に調査した住所ではなく、お客様が自分で書かれた住所のようですから、そのままの表記を尊重されたほうが間違いないように思います。