社長のブログ

中古住宅の売買

弊社の取引で中古住宅の仲介が最近多くなってきているのですが、最近売買した中古住宅の仲介でのエピソードをお話します。
取り扱った物件は築25年ほど経った上品な木造住宅でした。当初売主から依頼を受けて登記簿を調べ、内部を見せていただくと上等な材料をふんだんに使用した立派な数奇屋造りの住宅でした。売主の希望する金額もかなり高めの設定でしたが、「間取りも現代的で建築をよくわかった人に当たれば充分評価してくれるはず」と思い、ほぼ希望額とおりの値段で売りに出すことにしました。
新聞広告などにも広告を打ちましたが、数字上で土地と建物を評価しても非常に高くなり、反応はイマイチでしたが、たまたま福井市内か春江で中古住宅を探している方が、丸岡の会社に来れれて、福井市内のこの住宅の内部写真を沢山お見せしたところ、かなり好印象ですぐに現地を見ていただき、その後数回の交渉で契約に至ることができました。
弊社の中古住宅の仲介は、内外装ともにほとんど手直しをすることなくそのままの状態で引渡し、買主の予算や使い方に応じて内部を改装して頂く手法をとっているのですが、この住宅の場合は築年数も経っている事で特に給排水を中心にかなり改装することとなりました。
売買手続きがすべて終わり、買主がいろんな業者に改修や改装をお願いしたところ、まずは左官屋さは、「これだけうまく壁を塗って仕上げてある住宅は見たことが無い。給水のためにこの壁を壊して作り直しても元とおりに戻すことはできないから、この壁は破らないほうがいい」とか、電気屋さんも「ここの天井の材料は今ではなかなか手に入らない天然の材料だから、むやみに器具をつけないほうがいい」と言われたそうです。この他にもいつも建築に関わっている業者の方に材料やデザインを褒められたそうで、買主の方はまんざらでもない様子みたいでした。
勿論、築年数が経過していることで、目に見えないところでも傷んだりしている場所も見つかったということですが、「悪いところばかりじゃなくて良かったところもお伝えしないとね」とおっしゃってくださった買主さんの言葉が印象的でした。
最近、新築同様というキャッチフレーズで中古住宅の売り物件がかなり出てきていますが、内装仕上げはほとんどがクロス張りで柱が表面に出てこないために、表面から見ただけでは下地材や構造材がどのようになっているかがわかりません。そういう時は台所の床下収納庫をすべて持ち上げると床下が見れますので、そこから潜り込むと土台のほかに柱も見えるところがありますので良く観察すべきです。天井へは、押入れなどの天井材を1枚外すと、天井裏の構造が見られます。構造材などがしっかりしていなかったり、床下が湿っぽい住宅はまずは止めておかれたほうが無難です。但し、何事も値段との相談で、建物の価格をかなり安く見積もってあり、構造的にも支障が無く、床下換気も改修で直せるような場合は逆にお買い得になる場合もあるので、できれば信頼できる専門家に見ていただき、古くても良いもの、直せるものの判断をしていただいたほうが良いとお思います。
最初から、中古なんて止めなさい、建てられたほうが良いですよ、と自社建築を勧める住宅メーカーや大工さんはダメですねどね。