社長のブログ

ある日の出来事(レスキュー隊出動)

4月の会社が休みの水曜日の朝、携帯が鳴りました。
「○○マンションの3階の窓から、トイレに閉じ込められ出られなくなった。共立不動産に電話して来て欲しいと言って」と女性が叫んでいる、とのこと。
「はぁ~? 閉じ込められたってことは、トイレの鍵が開かなくなったってことですかね?」と尋ねても、「私は他の部屋の住人ですからわかりません」とのこと。
「とりあえず今から行きますわ」と答えて、トイレの中で具合が悪くなって外から開けるときは、ドアノブに開錠するつまみが付いているのでそれで開けられるけど、何か他の原因でノブが壊れたのなら何か道具も持っていかなければ、と車に載せてあるペンチやドライバーセットなどの7つ道具を確認し、マスターキーを持って現場に向かいました。
マンション管理では、お湯が出ないとか電気がつかないはいつもの定番で、落雷の影響でブレーカーが落ちていたりポンプの非常停止が付いていたりするのが常なのですが、トイレから出られないというのは珍しいことでした。

現場に着いてドアの外から、「○○さん、どうしましたか」と声を掛け「部屋の鍵を開けますよ」と確認して玄関ドアを開けると、ドアチェーンが掛かっていて、10cmほど開きました。
「トイレに入ったら、トイレの前に置いてあったダンボールがドアの前に倒れて開かなくなった」とのこと。玄関ドアの隙間から中を見ると、畳んだダンボールがサイズを測ったかのように見事に?ピッタリとトイレのドアを押さえつけています。
引戸を開かないようにするために木のつっかえ棒のことを「用心棒」って言うのですが、このときはダンボール箱が見事に用心棒の役目を果たしていました。



しかし感心ばかりはしてられません。玄関にはドアチェーンが掛かっていて隙間は10cm。外からチェーンを外そうとしても外れません。チェーン自体をドライバーで外すにも隙間が狭くてとても無理。
「○○さん、ベランダの鍵は掛かっていますか?」と聞くと「はい、全部掛かっていると思います」とのこと。「すぐに開けますよ」とは言ってしまったものの、数年前に建った鉄骨のマンションはセキュリティの良さも売り物の一つですので、そう簡単に外部から入れません。防犯対策のため日頃在宅時にはドアチェーンを必ず掛けてください、と言っていたことも今回は逆効果になってしまいました。


こうなったらどこかを壊さなければは部屋に入ることはできません。悩んだ挙句、修繕しても一番費用が安く付く方法は、玄関ドアのドアチェーンを切ることでした。昔、伊丹十三監督の「マルサの女」で国税査察官が強制捜査のとき、大地康雄がドアに片足を差し入れ、ドアチェーンも切るための道具も用意していたことを思い出しました。
早速、持って来た7つ道具の中を見ますが、カナノコは入っていません。今からみつわへ行って買ってきて、ギーコギーコする自分を思い浮かべますが、そんなカナノコで最新式の棒状のドアチェーンを切ることができるのか、自問自答して出した結論は、そうだ消防署のレスキュー隊が、交通事故の際に使うために電動カナノコを持っていたはずだ!早速消防署に連絡をしますが、さすが119番は気が引けましたので、普通の番号へ電話すると、巡回中の消防車が近くにいるから行かせますとのこと。

こんなことくらいで消防車を呼ぶんじゃない!ってお咎めを受けそうでしたが、「いや閉所恐怖症の方だと具合が悪くなる人もいますから…」と早速対応していただきました。
消防署の方もどうにかどこも傷をつけない救出方法を考えましたが、結局はドアチェーンを切ることとなり、圧縮ボンベに機関銃みたいなカナノコ?を取り付けいよいよ作業開始。と思いきや、シュシュシュシュと音がすると、「切れました」時間にして約5秒程度。見事にスパッとチェーンが切り落とされ、玄関が開き、トイレの前のダンボールを取り除くと、中から這い出すように入居者が出てきました。


2時間半ほど閉じ込められていたそうですが、体には異常がなく一件落着。さすが消防隊、閉じ込められていた人の体の具合を聞いて、何事もないように帰っていかれました。
駐車場に向かってトイレの窓があったことと、そこで気が付いてくれた人がいたことが不幸中の幸いでした。マンションでは窓がないトイレもたくさんありますが、ドアの前には変な用心棒になるようなものを置かないことが肝心ですね。
それと、福井県内でもかなり沢山の物件を扱っている大きなアパート・マンションの管理業者でも、休日には全く連絡が取れない業者も多いようです。弊社の場合は、24時間私の携帯に転送される体制となっていますが、緊急性のない場合はできるだけ営業時間内にお願いしますね。