不動産取引のお役立ち情報

得する賃貸物件の選び方 礼金

礼金とは、「入居契約時に家主へ支払うお礼金」で、退去時にも返還されない金銭で、地方により授受しない地域もあれば、その金額も色々で全国一律に決まっていません。
そこで問題です。
(A)家賃80,000円、礼金1か月分、敷金3ヶ月の部屋
(B)家賃82,000円、礼金なし、敷金3ヶ月の部屋
1年間住むとして比較した場合、(A)(B)どちらが得か計算してみましょう。

答えは実は(B)の部屋のほうが、1年で36000円もお得なのです。
(A)は1年間の総額家賃は96万円ですが、礼金1か月分を加えると104万円
(B)の方は2年間の総額家賃98万4千円ですので、ナント1年で5万6千も安いのです。2年間借りたとしても、(B)の方が、3万2千円安いのです。
これだけ大きな差が出る礼金の話をして見ましょう。
礼金はどのように発生したかは明確でありませんが、借主が部屋を借りるとき、家主には敷金を預けるのですが、家主にとって敷金は返すべきお金で、新しい人が入居することで物件の内部を綺麗に掃除をし直したり、契約書を書き綴ったりする仕事をした代償として借主に請求したと考える説や、借りる権利を買い取るための権利金の名残とする説、これからお世話になる家主に対し挨拶代わりに支払ったとする説などがあるようです。
いずれにせよ、地域の慣例的なものが定着したものと思われます。
地域的に非常に特徴があって、20年ほど前までは福井ではほとんど礼金の授受は少なかったのですが、関西地方ではかなり以前から礼金を徴収する慣例があり、敷金2ヶ月、礼金3ヶ月とかも珍しくはなかった時代もあるようです。
ここ20~30年の傾向として、貸主が公的な資金(旧 住宅金融公庫など)の借入によって建築した物件は礼金が禁止されるようになってから、全国的に礼金無しの物件も増える一方で、礼金2ヶ月・敷金2ヶ月の契約が見られるようで、多種多様な契約条件になってきたようです。
また、最近では礼金がそのまま家主には入らないシステムも増えてきています。
入居者側の仲介不動産業者が別の仲介不動産業者(家主側)の物件を紹介して入居が決定した場合、従来は1か月分の仲介手数料を2社の不動産業者が2分の1ずつ分配していたのですが、これでは仲介手数料が少なくなると考えた家主側の業者が、家主に事前に了解してもらって礼金を広告宣伝料として家主に渡さずに、仲介不動産業者に手数料として支払うケースも目立ってきました。この場合、入居者が支払った礼金は一旦家主に支払われた、家主が領収書を切り、家主はそれを再び広告宣伝料として不動産業者に戻すので、契約した入居者は特に違和感?を感じないかもしれませんが、家主側の収入が減った分、不動産業者への支払いが倍になった勘定になります。
これにより、不動産業者は家主側に別の不動産業者がついている物件を斡旋しても1か月分の報酬が手に入るとのことで、できるだけ礼金をバックしてもらえる物件を紹介するような動きも増えてきています。
このシステムで仲介している業者は、その会社だけで入居者と契約できた場合でも前述と同じように広告料として徴収し、結局は1回の契約で2か月分の仲介手数料を手に入れる業者も方法も現れてきました。(詳しくは仲介手数料と特別管理料で書いてあります。)。
弊社では昔ながらの慣例どおり、というか、できるだけ入居者の負担を少なくすべく、できるだけ礼金の設定の無い契約を家主に薦めていますが、礼金を設定したい家主に対しては、入居者のある都度家主にそのままお支払いしており、2社の仲介の場合は手数料は2分の1を仲介不動産業者にお渡しをしております。
最後に、礼金を払ったことで退去の時退去時の原状回復費用を少し優遇してもらえるとか、何かの代償を受けられることはまったくと言っていいほど何もありません。家賃の一部の前払いと思っていただいても差支えが無いほどです。礼金が無い物件を探せばいいのですが、どうしても礼金がある物件に入居したい場合は、礼金とはこういう意味合いのお金ですので、言われるままに支払うのではなく、あとはここで読んだと言わずに上手に交渉してみてください。