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「更新料無効」判決のその後

8月27日に大阪高裁で「更新料は消費者契約法第10条に反し無効」との判決が出ました。
この訴訟は、京都のワンルームマンションを敷金10万円、家賃月4万5千円、礼金6万そして更新料が1年ごとに10万円で借りた入居者が訴えたもので、1審の京都地裁では貸主側が全面勝訴したのですが、大阪高裁での控訴審では逆転、貸主敗訴、消費者契約法施行後の更新料を全額、借主に返還する判決でした。

福井でも更新料を設定している家主や不動産業者が多いのですが、この判決後の一般的な反応は、「家賃4万5千円で、1年ごとに10万の更新料はちょっと非常識すぎる。2年ごとに家賃1か月分くらいだったら、更新料は認められる範囲だ。」という意見が大多数のようでした。

ところが、判決文をよく読むと
更新料を併用することにより、法律上の対価である家賃額を一見少なく見せることは、消費者契約法の精神に照らすと許容されることはない」と書いてあり、要は、「更新料の額が問題ではなく、更新料の存在そのものが問題だと言う判決なのです。
このことは、私が2010年2月4日に更新したこのブログの中で「家賃だけの比較では危険!賃貸契約の大事な話」でも述べている論旨と同じことなのです。

私自身も数年前に、管理物件の収入を上げようと、何度か更新料の設定を考えましたが、結局、入居者の方から更新料や更新手数料を頂いて、ほとんど内容の変わらない契約書を再作成するだけのことが、本当に家主や入居者にとって必要か自問自答した結果、契約期間が3年以上になる入居者の方に、契約内容に変更がある場合は速やかに申し出てもらい、無料で契約書を訂正するようにしました。また、契約期間がおおむね5年以上になっていた入居者の保証人の方には、弊社から保証人継続の意思があるかを文書で再確認する方法をとり、意思がない場合も新保証人との契約訂正を無料でしています。
賃貸契約の更新は必ずすべきだとする人の意見は、契約を更新しなければ、入居者が無断で他の人を住まわしていたり、保証能力がなくなっている保証人を放置することになるので、契約更新は絶対すべきであり、更新料や更新手数料はその事務処理に要する費用として当然としての対価であると主張します。この考え方は極端に言えば、入居者全て=性悪人のような捉え方で、私は少なくとも入居時に、入居者は家賃を払うから住まわせていただく、家主は住んでいただく代わりに家賃を頂く、という認識の下で相互信頼をした結果が賃貸契約、つまり入居者=性善説であるという私の考え方と基本的なベースが違っているような気がします。(どちらが正しいかと言うより倫理観の違いも知れません。)

この判決は最高裁に控訴されましたが、今後最高裁がどのような判決を出すのか、興味こそあれ、弊社では一切更新料の設定がないのでそれほど心配ではないのですが、最高裁でも更新料無効となると、それこそ更新料の返還要求裁判が花盛りになりそうな気がします。
京都では既に「敷金保証金弁護団」が相談受付窓口まで開設されていました。

現在、更新料の規定がある賃貸マンションにお住まいの方は、いくら更新料無効の判決が出たからといって、現在契約している賃貸契約書に更新料の支払が記載されている場合は、一旦支払わなければ契約違反になりますから、更新料を支払わずに住み続けようとすると、契約違反で家主か不動産業者から最終的に訴えられるか、退去させられるかもしれません。
しかしながら、入居者が少ないこのご時世ですから、家主もそう強引になることもないかも知れません。いずれにせよ、トラブルになりますので冷静に、自己責任で対処してください。
一旦、更新料を支払った後に返還請求する手続きは、やはり裁判が必要となると思いますが、これはかなりの労力と、人によっては精神的な負担も覚悟しなければならないと思います。
これから新たな賃貸物件を契約する方は、これらの判決を参考に、できれば更新料のない賃貸物件を選ばれてはどうかと思います。最初から更新料の規定がなければこんなトラブルも発生しないわけですから…。

2009/9/24