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上下水道引込工事負担金って?

「住宅地として販売するのなら、水道も下水も敷地内に入っているのが当たり前」と考えていると、間違いやすいのが、上水道や下水道設備です。

自動車を買っても、車両本体の値段以外に諸費用として重量税とか別途かかる費用がありますが、それと同じ感じで、不動産を買う場合に一般の人にはわかりにくいのが、この費用です。
車を買って車庫で飾っておく人はまずいないだろうし、すぐに乗る車なのだから、全部でいくらなの?って言いたくなりますが、住宅地で売っていて、水道や下水が敷地内に引き込まれているのは当たり前じゃないの?って言いたくもなる気持ちよくわかります。
色々な不動産広告を見ていると、「上下水道引込工事負担金30万円別途」とか「下水道負担金20万円別途」と書かれている広告をよく目にします。
これらは、新たに埋立をして分譲している土地などに多いのですが、道路から各敷地に水道や下水を引き込む際に、土建業者に支払う工事費以外に、分譲不動産業者が行政に対し、水道加入金とか下水の受益者負担金とかを別途に支払う必要があるので、その費用分を購入するお客さんから土地代金とは別口で頂きましょうって考え方なんです。
で、実際に必要な水道加入金は、坂井市は20㎜のメーターで105,000円、下水の受益者負担金は土地の広さに応じて、㎡当り440円、50坪165㎡で72,600円となり合計で177600円。これに引込に要する工事費も含めると、土地に広さにもよりますが、実際には20万とか30万円をお客様から頂いても不足するケースが多いのです。

ではなぜ土地代金に含めて分譲価格にしないのかというと、特に土地だけの分譲地となると、一般のお客様は㎡単価や坪単価が気になるため、その単価に含まれない負担金を分譲価格と謳って、別途費用として少しでも利益を上げようとする手段なのです。

そのような業者がなぜ現れるかというと、分譲地を新たに作ろうとすると、新たに道路の舗装費用や敷地内に引き込む上水道、下水道の工事費はすべて業者が負担し、そのうえ前述の負担金も行政に支払うこととなり通常、行政側は一切その費用の補助は行いません。さらに、道路は行政の規定に準じた舗装を行い、下水管の検査等も業者負担で、ようやく出来上がった道路は業者が行政側に無償で寄付することとなり、いわゆる道路、上下水道の整備費用はすべて業者負担となります。最近は、埋立や舗装工事費も高く、分譲地の原価は高くなる一方で、少しでも安く見せかけて少しでも利益を出そうとした結果、負担金は別途徴収しようとなるわけです。

このような負担金を別途と表示することは「不動産の公正取引規約」にも抵触するという見解が一般的ですが、賢い消費者でしたら、複数の物件を比較する場合、負担金がある土地はそれらも含めて単価を割り出して比較するのですが、50坪で負担金30万円を含めてしまうと坪単価で6,000円も高い計算となるため、イメージ的に少しでも安く見せかけるために別途諸費用とする業者が多いようです。また、本来は上下水道負担金が別途必要ですが、今回は特別この負担金は値引きしましょうっていう材料にも使えるため、少々危ない選択ですが、負担金を別途徴収するという業者が未だにいるわけです。

最終的には、上下水道の敷設状態や、引き渡す際の状況、負担金の有無や金額などは、土地を購入する契約をする前に、必ず不動産業者が書面で用意し直接説明をしなければならない「重要事項説明」で納得いくまで説明を聞いてから、そのあとに契約することが肝心です。

※このページの閲覧が多いため、2022年5月12日 加筆・修正しました。