よもやま話

丸岡町の都市計画とその問題点

都市計画は無秩序な開発や宅地化を規制したり、逆に宅地化を促進する地域を決めて規則的に誘導することで農業を含めた商工業の効率的な発展と住環境の保護を目的として定められており、丸岡町内も山間部を除く平野部はほぼ全域が都市計画法に定める都市計画区域内に指定されています。この都市計画法は昭和45年頃に施行され、その後都市計画区域が決定されましたが、自家用車がこれほど増加し、人の流れや生活様式などが変化してきたにもかかわらず、これまで30年間、坂井郡内ではそれほど大幅な見直しはなく、色々な弊害が生じてきています。
まずは、その都市計画法の概略とともに、現在の丸岡町の都市計画をご説明し、問題点を挙げてみようと思います。
都市計画法で定める都市計画区域内では、原則として市街化を促進する「市街化区域(建物が建てられる地域)」と市街化を抑制する「市街化調整区域(建てられない地域)」に「線引き」をする都市計画区域の定め方と、「未線引き地域」といって市街化区域と調整区域との「線引き」はせず、中心市街地部分に用途地域だけを定める2つの方法があります。
前者の線引きにより市街化区域と指定された地域にはすべて「用途地域」が定まっており、建てられる建物の用途と規模までが制限を受ける地域となっています。県内では福井市と清水町、そして松岡町の一部がこの都市計画がされています。
一方、丸岡町を含む坂井郡内は後者の未線引き地域ですので、基本的に市街化を促進する地域と抑制する地域の線引きがない(できない)地域です。但し、坂井郡6町ともに、旧市街地には用途地域だけが定まっており、建物の用途や規模までが制限を受ける地域に指定されています。丸岡町内では郊外の高椋、磯部、長畝、鳴鹿、竹田地区はほとんどが用途地域の指定のない未線引き地域なのです。
ですから、簡単に言えば都市計画法上では、丸岡町の郊外ではどのような場所にでも、容積率400%以内建ぺい率70%以内であれば、どのような用途の建物でも建てられる地域なのです。しかしながら、もう一つ土地の利用に関する法律があります。それは農業振興法という法律で、基本的に土地改良事業(耕地整理)を行った農地はほぼ全域が農業振興区域に指定され、この区域は農地を宅地には変更できない規制がかかっております。しかしながら、幹線道路や、集落の周辺などで交通の便が良いところは、この農業振興区域から除外され、一般的に除外地域を言われています。この除外地域であれば、現在、農地として利用している土地であっても、農地法の許可を受ければ宅地化でき、工場でも住宅でも建てることができるのです。
以上が概略で、ここから問題点を挙げたいと思います。
丸岡町の郊外は本来であれば、都市計画法にのっとって、小中学校周辺には住宅環境を整えた住宅団地を配置し、さらにその周辺には住民が利用する商業施設を誘致したり、交通の便の良い場所には流通業や工場を配置するような制限や規制がされるべき地域なのですが、実情は農地法や農業振興法だけで単に、農地を宅地の転用する規制だけをしていることなのです。農地法や農業振興法は農地の無計画な開発を規制する法律ですから、転用後にどのような用途に土地を利用するとか、その建物の規模を制限する法律ではないため、丸岡町の郊外では農地を埋立てたあとに住宅地のすぐ横に工場が建ったり、はたまたパチンコ屋が建っても何ら法的な規制はなく、計画的な配置やまちづくりはできない結果を招いているのが現在の実情なのです。極端な話、例えば、九頭竜団地のすぐ横に産業廃棄物の処理施設が建っても、ラブホテルが建っても法的規制はかけられないのです。
また、新設された明章小学校や今度、新設される中学校周辺は、農業振興区域ですから今のところ原則として住宅も商店も工場も建てられないのが実情なのです。
都市計画法の施行以来約30年が経過し、その都度実情に合わせた指定地域の見直しなどが置き去りにされ、田んぼの真ん中に箱物だけを造ってきた弊害がこのような問題を大きくしたのかも知れませんが、これは丸岡町だけに限ったことではありません。このことに気づいた地域が、国の方針ばかりに従うことなく、地域性を尊重し大ナタを振り下ろすような改善をしなければ、住宅地でもない、工場用地でもない、耕作しやすい農地でもない、色々な建物が混在するまとまりのない街になってしまいます。
今後、宅地化を進めるような地域の選定は誰がどのように調整し指定するのか、指定された地域は数年間のうちに道路や上下水道などのインフラ整備のための予算はどうするのか等々、簡単に市街化区域および調整区域の線引きができない事情も数多く存在しますが、早急に都市計画法による用途地域の指定、もしくは市街化区域および調整区域の線引きを行わなければ、今のような乱開発がますます進み、秩序ない宅地化が広がると思います。